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日本メナード、共同研究で長期間安定的に培養可能な皮膚幹細胞モデルを樹立

日本メナード化粧品株式会社(愛知県名古屋市/代表取締役社長:野々川純一)は10月4日、藤田医科大学医学部(愛知県豊明市)の応用細胞再生医学講座(教授:赤松浩彦)及び皮膚科学講座(教授:杉浦 一充)と共同で、長期間安定した培養が可能な3種類の皮膚幹細胞モデルを樹立したと発表した。

具体的な研究は次のような手順で行われた。

1.皮膚細胞の入手
藤田医科大学医学研究倫理審査委員会にて承認後、協力者の同意を得て、手術時に余剰となった皮膚(表皮、真皮、皮下脂肪組織)から酵素処理によって表皮細胞、線維芽細胞、脂肪間質細胞を分離した(図1)。

図1 1人のドナーの皮膚組織から3種類の皮膚細胞を分離

2.不死化幹細胞モデルの樹立
先に分離した皮膚細胞(表皮細胞、線維芽細胞、脂肪間質細胞)に、細胞を不死化※するための遺伝子(TERT, CDK4R24C, CCND1)を導入した。

※目的の細胞に細胞増殖を促進する遺伝子や細胞老化を抑制する遺伝子を導入することで細胞老化を引き起こさずに長期間増殖可能な細胞を作製する技術。

また、それぞれの細胞について、複数の単細胞クローン(1個の細胞から増殖した細胞集団)を樹立した。さらに、その単細胞クローンの中から幹細胞マーカーの発現や幹細胞の特徴である分化能、増殖能を指標に幹細胞性が高いクローンを選別した。

その結果、長期間安定培養が可能な表皮幹細胞、真皮幹細胞、脂肪幹細胞の不死化モデルを樹立することができた(図2)。

図2 不死化幹細胞モデルの樹立

3.樹立した幹細胞モデルの能力
通常の表皮細胞は、培養を続けると5回程度の継代(増えた細胞を植え継ぐこと)によって細胞老化を引き起こし、それ以上は増殖しなくなる。

一方、今回樹立した表皮幹細胞モデルは、長期間培養し40回近く継代を繰り返しても、細胞老化を引き起こさず増殖を続け、さらに、表皮を構築する分化能も維持していた(図3)。

図3 通常の表皮細胞と不死化幹細胞モデルの表皮構築能の比較

同様に、真皮幹細胞モデルや脂肪幹細胞モデルについても、長期間培養した後でも増殖能が低下せず、様々な細胞への分化能を保持していた(図4)。

図4 樹立した幹細胞モデルの能力

今回樹立した3種類の不死化幹細胞モデルは、細胞老化を起こさずに幹細胞としての能力を保持したまま安定的に培養することが可能であった。

同社は今後について、「これらの細胞を用いることで、皮膚幹細胞の研究や幹細胞に有用な物質のスクリーニングなどが効率的に行えるようになると考えられ、皮膚科学分野及び再生医療分野への応用が期待されます」とコメントしている。

なおこの研究成果は、科学雑誌「Biological and Pharmaceutical Bulletin」(44巻10号)に掲載された。

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